風の通る家(ノット・リゾート・ハウス)
沖縄で生活している以上、「リゾートのような住宅に住みたい」という単純な考えだけでは済まされない。沖縄はその大部分が国内でも珍しい亜熱帯気候に属しているため、独自の住文化を育んできた。表面上の形状の追求や模倣という方法を取らずして、バナキュラー建築の原理原則から由来する要素をより現代の感覚で隠喩的に表現することが、これからのバナキュラー建築の発展に繋がるのではないでしょうか。それでこそ視角だけでなく、全身で沖縄を感じることにもなるでしょう。加えて現代ならではの配慮項目、例えば将来的な2世帯住宅へのコンバージョンを考慮した間取り、シックハウス対策ゆえの風の流れ、海やヤシの木を見ながら生活したいという希望などを整理した結果の住宅である。南国に住むということは廻りの環境をどう取り入れて、何もかもが強烈な自然の機嫌をどう取るのかを考えなければならないということである。